大和村へタイムスリップ

小麦粉に水を入れてよく混ぜ合わせる。天ぷらの衣よりやや硬め。たっぷりのサラダ油を熱したフライパンに流し入れ、中火で焼いていく。郷土のおやつ〈焼き餅〉について、軽い気持ちで尋ねたわたしに「実際見るのが一番よ」と手際よく作り始めてくれた。
ご近所のおかあさんは、わたしの両親と同年代。この土地で生まれ育った大和っ子だ。
おかあさんが子どもの頃、この辺りは民家が少なく、ずっと田んぼが広がっていて山に囲まれていたらしい。今の住宅街からは、ちょっと想像しづらい。
田んぼにはイナゴやウナギがいて、山ではキノコを採ったり馬乗り遊び。十二段の滝(多摩湖の水を狭山公園側に放流する段々の滝になった今も残る水路)で水遊びをしたとは、なんてダイナミックなんだろう!
学校へは、おかずのない麦飯だけを弁当に持って、山を越えて通った。リヤカーが行き来し、牛や馬が歩く横を通って。街灯なんてないから日が暮れると真っ暗になる。まだ土葬だったから、火の玉が出るという墓地の近くは怖かった。
「当時は、みんな貧しくて食べ物も着る物も苦労したけど、親子の絆や人との繋がりが温かかった」と、懐かしむおかあさんの様子からは、豊かで便利になったけど、人間関係が薄くなった今の時代を淋しく思う気持ちを感じた。
東大和市になって今年で50年。この先50年後、ここはどんな街になっているのだろう。時間の流れが早くなっている分、もっと大きく変わっているのだろうか...
さて、フライパンの〈焼き餅〉に話は戻る。両面に軽く焼き色がついたら4つにカットして、さっと醤油をつけて完成!早速いただいてみると、シンプルながら、もっちもちで香ばしい。腹持ちも良さそう。ちょっと話を伺うつもりが、すっかり長居をしてしまった。でもとても楽しくて美味しい時間を過ごすことができた。
次は〈ゆでまんじゅう〉の作り方を教わる約束をした。

(市民記者 市村和美)