テレビに映らない箱根駅伝のドラマ

  今年の箱根駅伝も多くのドラマがありました。スタート直後に転倒して足を引きずりながら走った選手がいたり、優勝確実と言われた大学が負けたりするなど、学生たちの頑張る姿に元気をもらった気がします。
 華やかに見える箱根駅伝ですが、テレビに映らないところでも様々なドラマがあります。私が出場した39年程前の大会の頃の監督車は、自衛隊のジープでした。ジープは屋根がなく吹きさらしの状態なので、雨や雪が容赦なく車内に入ってきます。大変寒く、トイレが近くなりますが、今と違って沿道にはトイレが少なく、監督はトイレに行くこともできませんでした。このため、監督は、箱根駅伝が近づくと少しずつ水分摂取を控えるようにしていました。
 駅伝の数日前に、選手たちと一緒に夕食をとっていた監督が、「今日から、味噌汁はいらないよ!」と言った瞬間、チーム全体に緊張が走りました。4年間の箱根駅伝では、毎年、監督のこの言葉を聞いた瞬間が一番緊張したことを今でも最近のように思い出します。
 駅伝が始まると、監督はジープから選手たちに、指示や激励を飛ばします。選手によって言葉を使い分けながら、選手が走りやすくなるような話もします。選手たちは、この監督の言葉を励みに襷たすきをつなぐのです。
 私には双子の兄がおり、同じチームに所属していました。兄弟で出場予定であった大会の直前に、兄が腰を痛めて出場できなくなったことがありました。その際には、9区を走る自分に対して、監督から「お前はひとりじゃないぞ!兄貴の分まで走るんだ」と何回も声を掛けられ、ペースを落とすことなく、区間新記録で走ることができました。
 今年の大会でも、大会直前に体調を崩し、控えと交代した選手が何人もいたようです。私たち兄弟の場合は、4年最後の箱根駅伝で一緒に走ることができ、兄弟で襷をつなぐことができました。今年もテレビに映らないところでも様々なドラマがあったことでしょう。
 学生たちに、感謝!
(市民記者 大隈広貴)