現状と課題

  •  東京圏における大企業の量産型工場の多くは、生産コストの高まりに伴い、より低コストな地方や海外への展開を進めており、中小企業も含めた移転ケースもみられます。また、大企業の多くは、多摩地域の工場を研究開発・試作型の工場へと転換を図っており、中小企業も質的変化が求められる状況となっています。
     
  •  本市の工業は、工場数・従業者数ともに、昭和60年以降、ほぼ横ばいの状態で推移してきましたが、平成4年頃からは減少に移行しています。
     
     市内工業の従業者4人以上の業種別特徴としては、一般機械器具・電気機械器具製造業のメカトロ系業種2種と、印刷・出版、同関連産業など東京圏の大消費地を背景とした産業の比率が高く、全体の約6割を占めています。
     
     平成10年末現在における従業者規模別工場数は、工場総数が180で、うち従業者30人未満の中小・零細企業が160と9割弱を占め、市内工場の大半が景気変動の影響を受けやすい不安定な状況にあります。一方、従業者30人以上の事業所の大半は、工業地域内に立地しているとともに、その大半がメカトロ系業種で占められています。
     
     市内事業所の大半が製造・加工・組立などの生産関連部門ですが、一部に研究開発・試作機能をもつ事業所もあります。また、主な出荷・仕入れ先では、市内の比率は比較的低く、周辺地域及びその他多摩地域の比率が半数を占め、特に工業地域内企業の広域的事業展開の比率が高い傾向にあります。
     
  •  長引く不況、円高、海外への生産拠点の移転や大企業を中心にした事業の再編成など産業構造の変化により、製造業を取り巻く環境がここ数年、一層厳しさを増しています。また、多摩モノレールの開業による情勢の変化などにより、特に工業地域を中心に工場の市外転出や廃業などが多くなり、跡地の住居系土地利用への転換が進んでいます。今後さらに、工業の空洞化は進むものと予想されます。
     
  •  しかしながら、工業の振興は、税収の確保はもとより、昼間人口の増加に伴う地域経済の活性化の促進や高齢社会の到来、男女共同参画社会の実現に向けた就労機会の拡大など、地域の発展にとって不可欠な産業要素の一つです。
     
     このため、市内工業の核となる中小企業の活力を維持・育成するとともに、高付加価値型あるいは知識集約型の都市型工業の誘致に努め、既存企業との連携により、市内全体の工業振興を図っていく必要があります。
     
    ■業種別工場数(従事者4人以上)■
    表:業種別工場数(従業員4人以上)
    注)平成11年末現在
    資料:工業統計調査
     
    ■従業者規模別工場数■
    表:従業者規模別工場数
    注)平成10年末現在
    資料:工業統計調査
     

第二次基本計画の「主な事業」の達成状況
事業名 事業概要 達成状況 第三次計画での扱い
工業振興計画の策定 工業振興のための長期的・総合的な計画の策定 着手 継続
工業地域整備計画の策定 工業振興計画を踏まえ、秩序ある工業地域を形成するための計画の策定 着手 中止
工業地域内の基盤整備 地域内道路の拡幅を基本とした面的整備 着手 継続
 

基本目標

  1. 商工会を通じて、中小・零細企業の経営の効率化、高度化など近代化の支援に努めます。
     
  2. 工業地域内の生産環境の整備などにより工場立地評価を高めます。また、工業地域外の事業所の集約化を図ります。
     
  3. 産業構造の変化や企業の再編成などが進行する中、高付加価値・知識集約型の都市型工業の市内への誘導をめざします。
     
  4. 製造業への理解と関心を高め、地域市民に親しまれるよう、企業と地域との交流を促進します。 

施策の方向

  1. 既存工業の活性化
     
     既存の中小・零細企業の経営活性化を図るため、操業環境の変化や生産設備の高度化などに対応できるよう、現行の小口事業資金融資制度を拡充します。あわせて、工場の建替えや人材確保のための支援、研究開発活動への資金援助の検討を進めます。また、国・都などの融資制度のPRに努めるとともに、現行制度の拡充を要請していきます。
     
     さらに、商工会を通じた経営相談・経営指導・企業診断等の充実により、経営管理の近代化など経営体質の改善を進めます。
     
  2. 生産環境の整備
     
     工業地域の整備の方針や土地利用の方針などにもとづき、工業地として用途を純化していく地区については、生産基盤整備等を進めるなど、操業環境の改善に努めます。また、多用途の混在が進む地区では、工場と住宅などが共存できる環境整備に努めます。
     
     さらに、工業地域外における住工混在の解消を図るため、工場の工業区域内への移転・進出に関する情報の提供、工場アパートなどによる集約化事業や施設の共同利用事業への誘導に努めます。
     
  3. 都市型産業の誘導
     
     市内工業の活力を維持・育成するため、今後の成長が見込まれるメカトロ系企業、研究所や製品開発能力の高い高付加価値型企業などの立地の誘導を図ります。また、起業への支援や独創的な技術力を有するベンチャー企業の育成の方策についても検討を進めます。
     
  4. 地域との交流促進
     
     市内産業の一端を担う工業が、地域経済の活性化に重要な役割を果たすとともに、企業が地域の一員であることについて市民の理解を深めるため、産業イベントの開催や企業のスポーツ施設、福利厚生施設の開放など、地域との交流を促進していきます。 

施策の体系

 工業の振興

既存工業の活性化
  融資制度の拡充
  商工会との連携強化

生産環境の整備
  工業地の操業環境整備の促進
  住・工共存地域環境の充実

都市型産業の誘導
  都市型産業の誘致
  メカトロ系企業の集積
  研究開発機能の集積

地域との交流促進
  産業イベント等の開催
  企業施設の地域開放の促進 

主な事業(工業の振興)

事業名 事業概要 前期
(平成15年度~19年度)
後期
(平成20年度~24年度)
工業振興計画の策定 工業振興のための長期的・総合的な計画の策定 計画策定  
工業地域内の基盤整備 地域内道路等の面的整備 整備 整備
融資制度の拡充 小規模事業所が環境整備等を図るための小口事業資金融資制度の充実 制度の検討・充実